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コラム

自筆証書遺言と遺留分

23.09.15
自筆証書遺言と遺留分

遺産相続の際、遺言書で相続対象や財産の分配を指定することができます。よくテレビで私の財産のすべてを○○に...なんてシーンがありますが、必ずしも遺言書通りになるわけではありません。なぜなら、相続において、法律で「遺留分」が定められているからです。そこで今回は自筆証書遺言における遺留分について解説します。

相続における遺留分とは?

遺産相続の際、相続人には最低限貰える相続財産が法律で決められています。それが、「遺留分」です。この遺留分とは、亡くなった方の兄弟姉妹以外の相続人に対して定められています。配偶者や子供、亡くなった人の親が相続人になる場合、最低限貰える遺産があるのです。

相続人 遺留分
奥様とお子さん 奧様 4分の1・お子さん(※) 4分の1
お子さんのみ お子さん 2分の1
奥様とご両親 奥様 3分の1・ご両親(※) 6分の1
ご両親のみ ご両親 3分の1
奥様のみ 奥様 2分の1
ご兄弟 遺留分はなし

※複数いる場合は均等割り

遺言書では遺留分に注意が必要です

遺言書で遺留分に注意が必要な理由は、争いごとを避けるためです。財産の分け方が偏った遺言書が残されていたら、納得出来ないという相続人もいると思います。遺留分は、相続人が最低限相続できる割合であり、法律で守られています。

また、遺留分を侵害されてしまった場合には、遺留分侵害請求をすることが可能です。遺産分割において、遺留分を請求する権利は、遺言書より優先されます。

遺留分侵害額請求とは

遺留分を侵害されてしまった場合には、遺留分侵害額請求といって、侵害された遺留分を取り戻す請求をすることが可能です。ただ、この遺留分侵害額請求をさせないようにする方法もあります。

1.付言事項
遺言書には、遺言者の方の願いや、財産を分けた理由、その経緯を自由に書くことが出来る「付言」を最後に記すことができます。付言事項は、法的な拘束力はありませんが、遺言書を受け取った相続人の方に遺言者の方の思いを伝え、理解してもらうことができます。

2.遺留分の放棄
遺言書があれば、亡くなられた方の最後の思いとして、最優先されるべき内容と理解されますが、相続人同士の話し合いで全員が納得するのであれば、どのような分け方をしても問題はありません。

お元気なうちに、相続人になる方々に自身の思いをしっかりと伝え、財産の分け方について全員に納得してもらうことができれば、相続の際に遺留分で争うことは避けられる可能性があります。遺留分は相続人の権利なので、放棄することもできます。相続人全員が納得のいく話し合いができ、相続人の皆さんの意思で遺留分の放棄手続きを裁判所で行っていただければ、遺言書の内容は確実に実現できます。

遺留分の請求

相続人の方たちとの話し合いや、遺言書に付言を書き残す対策をしても、相続の発生する状況によっては、遺留分を請求される可能性もあります。

遺留分に関する法律が2019年7月相続法の改正により変わり、「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害請求」になりました。今までの遺留分減殺請求の規定では、相続財産が預貯金と不動産だった場合、それぞれの財産に対して遺留分を返還することが基本となっていました。そのため、不動産が共有名義となり、権利関係が複雑になるデメリットがありました。

「遺留分侵害請求」では、遺留分が全て金銭で請求されます。不動産が共有名義となる心配はなくなりましたが、遺留分に応じるために遺留分相当の金銭を用意しなければなりません。金銭をすぐに用意できない場合には、支払いの猶予を求めることはできますが、最悪の場合は相続した不動産を売却せざるえない事態も考えられます。

遺留分を請求された場合のことも想定し、遺言書の内容を検討していく必要があります。

まとめ

財産の分け方に偏りがある遺言書を作成する場合は、相続人が最低限相続できる割合である遺留分に配慮しましょう。遺留分は請求されたら、遺言書よりも優先されるため、必ず応じなければなりません。

遺留分の権利が保証されている相続人は、奥様とお子さんとご両親です。ご兄弟には遺留分の権利はありません。また、遺留分の具体的な割合は、法定相続分の半分を限度とします。遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。それぞれに利点と欠点がありますが、確実に思いを伝えるには、公正証書遺言がおすすめです。

遺留分の対策としては、何よりも相続人全員から理解を得ることです。相続人全員が納得していれば心配はいりません。また、ご自身の相続への思いを自由に書くことが出来る付言を最後に書いておくことも相続人の方々の合意への後押しになるでしょう。遺言書がもめ事の原因になってしまっては意味がありません。遺留分の意味をしっかりと理解し、できる対策を講じながら遺言書の作成をご検討ください。

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